小さなオヤジ達の宴会 第16話

深夜2時ごろ隣の部屋から微かに聞こえてくる物音で目が覚めた。「何の音だろう?」、壁に耳をあてって隣の様子を伺って観る。確かに人の話し声や何かを叩く音、歌が聞こえてくる。「飲んで歌ってドンチャン、ドンチャン」、まるで宴会でもやっているようだ。いつもはお婆ちゃんが寝ている部屋だが、今日明日とショートステイで不在であり、誰も居るはずがないのである。

 

恐る恐るドアの隙間から隣の部屋を覗いてみることにした。気になって眠れないからだ!すると、年格好は50代後半、中年太りのサラリーマン風の小さなオヤジ達がベッドの上でドンチャン騒ぎの宴会をしているではないか、その数7、8人!びっくりして想わず声が出そうに、「!!」、すると小人達は、「人間に気付かれたヤベェ、逃げろ!」と叫び、あわてて四方八方へと逃げ惑い、やがて煙のごとく消えていった。

 

「あれが噂の小人?本当に中年オヤジだったなぁ」、一瞬の出来事だったので、狐につままれたような気分だった。あれから小人達の姿は見かけていない。人目を避けてきっと何処かで宴会をしているに違いない。また逢えたらその時は一緒に酒を酌み交わしたいものだ。

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