おやすみ、シシリー 第25話

今日は久しぶりに仕事を早めに切り上げ帰宅できることになった。そう言えばベランダにはアマリリスのシシリーが居るが、花を咲かせるまでには、ひと月はまだ掛るだろう。少し華やかさが欲しいと思い、帰りに花屋へ寄り道しようと電車に揺られながら考えていた。確か駅前の商店街には花屋が2、3軒あったはず、何かしら気に入る植物が置いてあるに違いない。

 

一軒目の花屋の店頭には色鮮やかな花達が並び人目を引こうと一生懸命微笑みかけていた。「誰か私の家に来たい花はいますか?」、誰も返事を返して来ない。二軒目も同じだった。諦めかけて三軒目を訪れたとき、風に揺られてなのか、まるで手を振って呼んでいるように見えた、小柄ながら大きな花を咲かせた向日葵がそこに佇んでいた。「オレを連れてってくれ!」

 

ベランダにはアマリリスのシシリーと向日葵が仲良さそうに並んでいる。「シシリー、新しい仲間が増えたよ、風太って言うんだって、良かったね!」、「…」、シシリーは何も答えない。「!?」、夜も21時を回っている、どうやらシシリーは眠っているようだ!植物も眠るってことに驚きながら、シシリーも明日になれば新しい仲間の風太に驚くに違いない!「おやすみ、シシリー!」

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