太陽がくれた元気 第40話

 天気予報では午後から大荒れと云っていた。外に出ると案の定、どんよりとした曇が空一面を覆っている。今日は午後から客先で報告会だ、天気予報のように荒れなければ良いのだが、なんだか不安が頭を過る。

 

 電車に乗り、客先に向かって移動を始めた頃、雨がポツリポツリと降ってきた。客先まで持ってくれればと思っていたのだが、電車に揺られながら車窓から見える雨で濡れた班目なビル群を眺めながら報告会がうまくいくことを空に願った。

 

 この信号を渡って正面のビルが目的の場所だ、赤信号を待っている僅かな時間にも不安が募り、胸から胃に掛けてキリキリと痛む。「報告会、延期にならないかなぁ」そんな弱音を吐いた次の瞬間、雲間から太陽が顔を出し、暖かな強烈な陽射しが全身を包み込んだ。「太陽が元気くれた」そう思うと不安は解消され、報告会は無事終了できた。偶然太陽が現れたのだろうか、いや、きっと見かねて元気をくれたのだろう。 

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