今年の梅雨は何回も来る? 第44話

 外出先から戻ると何か鼻を衝くような異様な臭いが部屋を満たしているのに気が付いた。すべての部屋の窓を開け、換気をしてもその臭いは全く消えない。この臭いは何処から臭っているのだろうか?臭いの発生源を探して回っても何処にも見当たらない。

 

 そんな時、突然、「お世話になっております」とハッキリとした声で誰かが背後から話しかけてきた。ハッとして振り向いてみても誰も居ない。その声はどこか聞き覚えのある声だった。

 

 「もっと下、下の方を見てください」、声の方に視線を向けるとサッカーボールくらいの大きさの蝸牛が床に佇んでいた。「あれぇ?」あなたは梅雨の到来を告げる精霊ですよね。確か5月に一度、知らせに来たと思うのですが・・・

 

 精霊が云うには、今年の梅雨はちょっと変わっていて、梅雨のような状態が何回か繰り返されるというのです。今回は第二陣のお知らせとのこと、この後、第三陣、四陣、五陣と待機しているそうです。

 

 そんなに梅雨が何回もやって来るのでは、家の中もジメジメするだろうから、カビや食中毒に注意しなければなるまい。除湿や換気を怠らないようにしながら快適に過ごす準備をしておこう。精霊たちも何度も出陣しなければならないので大変かも知れないけど、あの異臭を何とかしてもらいたいものだ。せめてフローラルの香りにするなどの改善を求む。

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