小さなオヤジ再び 第48話

小さいスペースだけど、自分にとってはお気に入りの場所、休みの日は読書をしたり、インターネットで情報収集を楽しむ。いつものようにその部屋で読書をしていると突然、棚に飾ってあるチョロQが「シャー」と言う音とを立て床に転げ落ちてきた。何年も動かずそこにあったチョロQである。

 

「何だろう?突然動き出すなんて」、暫くしてまた、違う場所にあるチョロQが突然動き出した。「シャー、コロコロコロ」、たまたまにしては気持ち悪い。なにモノかが悪戯をしているかのようだ。こうなると読書よりもチョロQの動きが気になって仕方がない。意識をチョロQに張り巡らせる。今度は全く動かない。心を見透かされているようだ。読書に集中している振りをしてみてが、それでも動かない。もう諦めかけた時だった。

 

「シャー」と棚の上のチョロQが突然動き始めた。「あっ!」何かがチョロQの後ろに、目を凝らしてよーく見ると以前、お婆ちゃんの部屋で宴会をしていたオヤジ姿の小人が立っていた。「やっべぇ、人間に見られた」、小人はそう云うと棚から飛び降り、何処かへ煙のごとく消え去ってしまった。それから小人は見掛けない。無邪気に遊ぶ小人の姿が印象的だった。また遊びにおいで、そう心の中でつぶやいた。

 

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